ヘリコバクター・ピロリは、胃に感染して潰瘍や細菌などの消化器系疾患の原因となるグラム陰性菌です。抗生物質で治療されることが多いのですが、一部の研究者は、体にとって有益であり、完全に根絶することは何らかの悪影響を及ぼす可能性があると提唱しています。今回は、ピロリ菌を体外に除菌することで起こりうるデメリットを探っていきます。
ピロリ菌除菌のデメリット
抗生物質による副作用
ピロリ菌を除菌することの第一のデメリットは、抗生物質による副作用です。ピロリ菌の治療に用いられる抗生物質は、軟便や軽い下痢(約10%の患者さんに発生)、蕁麻疹などの薬剤アレルギー(1%未満の患者さんに発生)など、様々な副作用を引き起こす可能性があります。さらに、抗生物質は、酸の逆流によって食道に炎症が起こる逆流性食道炎の発症リスクを高める可能性があります。その結果、ピロリ菌の除菌治療は多くの好ましくない結果をもたらす可能性があります。
逆流性食道炎の増加
ピロリ菌の除菌治療によって、逆流性食道炎が増加する可能性もあります。ピロリ菌の除菌は、逆流性食道炎の予防効果を持つ一酸化窒素の産生を低下させる可能性があることが研究で示されています。その結果、ピロリ菌の除菌治療を行うと、発症のリスクが高まる可能性があります。
食道腺癌の発生について
ピロリ菌の除菌によるもう一つのデメリットは、食道腺癌の発症リスクの上昇です。ピロリ菌は食道腺癌の発症リスクを低下させる可能性があり、除菌すると発症リスクが高まるという研究結果があります。
喘息やアトピー性皮膚炎の増加
最後に、ピロリ菌の除菌によって、喘息やアトピー性皮膚炎が増加する可能性もあります。ピロリ菌の治療によって喘息の発症リスクが低下すること、除菌によって喘息の発症リスクが上昇することが研究で示されています。さらに、ピロリ菌の治療がアトピー性皮膚炎の発症リスクを低下させること、除菌が発症リスクの上昇につながる可能性があることも研究により示唆されています。
ピロリ菌除菌のメリット
ピロリ菌や除菌治療については、Web上で様々な情報が発信されています。除菌のメリットに関しては、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の再発率を下げたり、胃がんの発症リスクを下げたりすることができることが挙げられます。さらに、ピロリ菌がいると感染を正確に発見できないため、除菌によって健康診断の精度を高めることもできます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発率低下
ピロリ菌除菌の最も大きなメリットは、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発率を低下させることであると言われています。ピロリ菌の除菌により、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の再発率が最大で60%減少することが示されています。特に、これらの潰瘍を頻繁に再発させる方に有効です。
胃がん発症リスクの低減
ピロリ菌除菌のもう一つの利点は、胃がん発症リスクを低減することです。ピロリ菌に感染すると、胃がんの発症リスクが高まることが研究により明らかになっています。つまり、ピロリ菌に感染している人は、そうでない人に比べて胃がんを発症しやすいのです。したがって、感染を根絶することで、がんの発症リスクを大幅に低減することができるのです。
他のメリット・デメリットも知りたい方は以下よりどうぞ。
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